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2020/06/11

ディーゼルエンジンのお話し。

オイルショックが生んだフォルクスワーゲンの小型ディーゼルエンジンのお話し。


1976年、フォルクスワーゲンは、1974年に発売が開始された初代ゴルフの派生モデルとして、排気量1.5Lの小型ディーセルエンジンを搭載するモデルをはじめてラインアップに加えました。この誕生の背景には、1973年に世界中を揺さぶった第1次オイルショックがあります。原油価格の上昇はドイツ経済はもちろん、走行距離が長いドイツ人の生活にも影響を及ぼしました。その結果、より経済性(ガソリン比で燃費は約2割、CO2は約3割良いとされています)の高いディーゼルに注目が集まりました。初代ゴルフに搭載したの排気量1.5L小型ディーゼルエンジンは、同じ排気量のガソリンエンジンと多くの部品を共有しながら、耐久性(高圧縮、振動対策も含む)を向上させたことで、小型車に適した軽量、コンパクトなエンジンであることに加え、何よりも高い経済性(燃油代とメンテナンス用)が高く評価され、その後の小型ディーゼル車の大きな可能性を世界に示すとともに、市民権を得るようになりました。日本でも同様に、第2次オイルショックの影響を大きく受けた1979年と1980年の2年間、初代ゴルフのディーゼル仕様は、同じガソリン仕様よりも多く売れたという逆転現象まで起きています。

小型ディーゼルエンジンの開発ノウハウが生かされた後世のダウンサイジングエンジン

TDIはTurbo Diesel Ingection(ディーゼル直噴過給)の略で、ガソリンのTSI同様、ターボ過給技術による最新エンジンであることを意味しています。1983年、フォルクスワーゲンは、このTDIのルーツとも言えるGolf GTDを発表しました。当時、アウトバーンの最速レーンを疾走するホットハッチとして一世風靡したGolf GTIにちなんでGTDと命づけられたこのスポーツディーゼルは、その後の小型ディーゼルエンジンの新たな可能性を世に知らしめました。以降、フォルクスワーゲンは、ディーゼルエンジン開発を通じ、ターボ過給システムの研究・開発を四半世紀以上に亘って行い、そこで得られた技術的知見は、後に世界のダウンサイジングエンジンの先駆けとなるガソリン直噴過給エンジンのTSIの市販化につながるとともに、日本導入されているのEA288型TDIにも受け継がれています。そして、このダウンサイジングエンジンの実現には、日本企業による最新技術も大きく貢献しています。

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