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2021/11/04

『〇月x日 快晴 最高気温 24度』

よし、明日は勝ち組だな。

スマホで天気予報を見た瞬間、そんな言葉が頭に浮かんできた。
我ながらお気楽な男である。
もちろん、わざわざそんなことを思うには理由がある。
明日は久しぶりのバイクツーリングの日なのだ。


今からもう十数年前だろうか。「勝ち組・負け組」という言葉が当時の流行語大賞に
ノミネートされたことがあった。
人を比較し、優劣をつけるこの言葉を私は好きではない。

しかし翌日の朝、カーテンを開け飛び込んでくる雲一つない青空は、
その日のツーリングの成功を確信させるものであり、「今日の私は勝ち組」そう思わせるには十分過ぎるものであった。


バイクツーリングを充実したものにするには、
道路の空き具合、目的地での食事等いくつかの要素があるが、その中でも天候は非常に重要だ。
いや、天候こそ全てといっていい。

過去訪れた北海道のキャンプツーリングでは、ひどい目に遭わされた。
私と台風が同時に上陸するという不運が重なり、7泊中6日間豪雨に見舞われたのである。

雨天時におけるバイク走行は、スリップの注意、対向車による水飛沫、雨による体温の低下、
そしてワイパーのないヘルメット越しの見にくい視界など、好天時の倍は疲労する。

そのうえ、ほうほうの体でようやく景勝地にたどり着いたとしても、
ガイドブックで想像していた景色はそこにはなく、
「晴れてればこんないい景色だったのになぁ」などとつぶやきながらスマホの画像検索で
好天時の写真を確認するのがやっとという有様であった。

そんな経験をしてきた私にとって、
スマホに浮かび上がる太陽マークを見ると頬が緩んでしまうのも、無理もないことだった。

開陽台.JPG
(かつて訪れた北海道が誇るライダーの聖地、開陽台。晴天時には360度地平線が望める大パノラマが広がるが、厚い濃霧に閉ざされたその視界は「地球がまるく見える」看板も空しくわずか数十メートルほどしかなかった)

「緊急事態宣言も明けたし、今度ツーリングに行こう」
先輩から誘いを受けたのは先週の事だった。

――いいですね。行きましょう。どこいきますか?
――行先はおまえが決めていいよ。
――わかりました。

今までも何度か誘っていただいているが、行先を決めるのはいつも私だった。
その日は、山梨方面へ向かうことに決めた。

宮ケ瀬ダムを抜けて道志みちを走り、山中湖でほうとうを食べ、
富士山を一周して御殿場から高速道路で帰る。
そうだ、途中で朝霧高原に寄ろう。そこで売っているミルクソフトは、
北海道で食べたどのアイスクリームよりも美味いのだ。

そんな事を想像しながら自転車でバイク置き場まで向かう。

自宅にはバイクを置くスペースが無く、自転車で10分以上かかる月極駐輪場に停めてある。

朝のひんやりとした風を感じながら、これから待ち受ける「非日常」を想像すると、
おのずとペダルを漕ぐ足に力が入るのであった。


銀杏並木.jpg
店舗近くのイチョウ並木。
ほんのり色づいてきました。

景山 雄介 セールススタッフ

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